10代の方たち(200名くらい)に、メンタル疾患のお話をする機会があり、
たくさん文献を読んだ。
ギャンブル依存症、薬物依存症の家族を抱え、私自身がアルコール依存症で、その分野に興味があり、自殺や自傷、依存症関連の本を10冊以上読むことになった。
中でも、この一冊は、私自身が身につまされる内容で、
読んでいるうちに、涙が溢れてしまった。
リストカット、薬物依存、アルコール依存、その他、性依存やギャンブル依存など、
あらゆる依存症の根底にある、問題と対応方法についてわかりやすく書かれている。
薬物依存症の方々に長年関わってきた松本俊彦先生の
実践と経験に基づいた言葉の重みも伝わってくる。
快楽のために、依存症になるのではない。
依存症になる人は、どうしようもない悩みや苦しみ、
心の痛みを抱えている。
依存物質がそれを和らげてくれることを知ってしまった。
『脳がハイジャックされた状態』と説明されている。
脳の構造を、いちご大福を用いて説明され、
依存症になる脳のメカニズムもよくわかる。
第5章の「トリガーはどこにある?」では、
リストカットをしたくなるときの対処方法が解説されている。
私は、この対処方法は、全ての依存症に活かせると思う。
依存物質にたよった時や、依存行動を起こした時の
『日付』と『誰と何をしたか』を記録する。
自傷はしなかったが、自傷したい気持ちになったマークを決めて記録する。
何回も自傷してしまった回数も記録する。
過食した時もマークを入れる。
こまかな記録をつけることで、
「自分の事象トリガー(引き金)なのか」
「どんな状況で自傷しやすいのか」が見えてくる。
それをもとに治療の中で、一緒に状況や心境を分析していく。
心の蓋の奥にあるものは、人それぞれ違う。
虐待やいじめ、自尊心を踏みにじられた屈辱、身近な人への怒りなど。
つらい気持ちを抱えているはずなのに、もう何年も泣いていない、という人もいる、
という。
松本俊彦先生の「思い」が垣間見れる本文を引用する。
第7章『社会と依存のいい関係』で、松本俊彦先生は、
「見せしめの逆効果」や「失敗しても終わりじゃない」の中で、
依存症の人たちと社会のあり方についても、
依存症に人たちへの懲罰的で排他的な関わりはなんの解決にもならない、
と説明されている。
「依存症には、ならないほうがいい。
その理由は、この本でくり返し伝えてきたつもりです。
ただ、依存症になったからといって、人生おしまいではありません。
人は失敗することがある。だけど、そこから立ち直ることもできる。
そういう希望を持てる社会のほうが、ずっといいと思いませんか?」
本書には、アルコール依存症の私を癒すような優しさと、
解決方法と、希望が、ちりばめられている。
『ありのままの自分を許す』を読んでいるときは、
つらかった・・・今までの私自身を振りかえった
親が離婚して『家庭』の消滅を体感した子ども時代。
孤独だった10代。
死を考えた20代。
自分では、アルコールに逃げて
自暴自棄になり、
人生を諦めていたんだ、と思っていたけど、
本当の私は、
『生きたかったんだ』
私は、自分を守るために
一人で戦ってきたんだ・・・
と知って、
ただ、ただ泣けてきた。
とても、わかりやすく、温かな本です。
ぜひ、ご一読いただけたらと思います。